ガンキャノン / 軽キャノン完全ガイド — 全シリーズ横断で徹底解説【初代〜GQuuuuuuX】

モビルスーツ
  1. 「ガンダムの影」に隠れた、もう一つの主役機
  2. 基本スペック — RX-77-2 ガンキャノン
  3. 武装 — 砲撃と白兵の両立
    1. 240mm低反動キャノン砲 — ガンキャノンの代名詞
    2. ビームライフル — ガンダムと同じ切り札
    3. 60mmバルカン砲とハンドグレネード
  4. パイロット:カイ・シデン — 皮肉屋が辿ったエースへの道
    1. 人物像 — ホワイトベースの「良心」
    2. ミハルとの出会いと別れ — ガンダム屈指の悲劇
    3. エースパイロットへの覚醒
    4. 戦後のカイ — ジャーナリストとしての再出発
  5. 主要な戦闘シーン — ガンキャノン全戦歴
    1. サイド7脱出戦(第1〜2話)
    2. ランバ・ラル戦(第18〜20話)
    3. 黒い三連星戦(第24話)
    4. ベルファスト(第28〜29話)
    5. ソロモン攻略戦(第36話前後)
    6. ア・バオア・クー最終戦(第42〜43話)
  6. 全シリーズのバリエーション — ガンキャノンの系譜
    1. RX-77-1A ガンキャノン最初期型(THE ORIGIN)
    2. RX-77-3 ガンキャノン重装型
    3. RX-77-4 ガンキャノンII
    4. RX-77D 量産型ガンキャノン
    5. MSA-005K ガンキャノン・ディテクター
  7. デザイン秘話 — 「主役になるはずだった砲兵ロボ」
    1. 『フリーダム・ファイター』から生まれた3体
    2. 「主役機」候補だった説
    3. 大河原邦男のデザイン哲学
  8. GQuuuuuuXのガンキャノン — ビームキャノンに進化した試作機
    1. GQuuuuuuX版スペック
    2. オリジナルとの最大の違い — ビームキャノンの光と影
    3. 第2話「白いガンダム」— 史上初のMS対MS実戦
  9. 軽キャノン — GQuuuuuuX世界の「ジム枠」
    1. 軽キャノンとは
    2. セイラ専用軽キャノン — 「ガンダムの代わり」を託された連邦最強のニュータイプ
  10. 文化的影響 — カイ・シデンが愛される理由
    1. 「もう一人の主人公」としてのカイ
    2. 「ミハル回」の伝説
    3. 「早い、早いよ!」の文化的浸透
    4. ガンキャノンの「渋さ」人気
  11. ガンプラガイド — 全グレード完全網羅
    1. GQuuuuuuXキット
      1. HG 1/144 軽キャノン(HGGQX)
      2. HG 1/144 セイラ専用軽キャノン(プレバン限定)
    2. クラシックキット
      1. HGUC ガンキャノン(REVIVE版)
      2. MG ガンキャノン
      3. RE/100 ガンキャノン・ディテクター
      4. HG ガンキャノン最初期型(THE ORIGIN)
    3. おすすめの選び方
  12. 関連記事
  13. 出典

「ガンダムの影」に隠れた、もう一つの主役機

1978年、『機動戦士ガンダム』の企画がまだ『フリーダム・ファイター』と呼ばれていた頃。スポンサーの要請で「用途別に3体のロボットを出す」方針が決まり、メカニックデザイナーの大河原邦男が描き上げた3体のうちの1機——「重砲兵型機動歩兵」。それがガンキャノンの原案でした。

驚くべきことに、一部の文献ではこの重砲兵型が主役機になる予定だったとも記されています。肩の巨大なキャノン砲、重厚な装甲、そして携行式ビームライフル——1978年の段階で、すでに決定稿と大差ないデザインが完成していたのです。

結果的に主役の座はガンダムに譲りましたが、ガンキャノンは「V作戦3機」の要として、46年間にわたりガンダムシリーズを支え続けています。そしてこの機体を語るとき、パイロットのカイ・シデンを避けて通ることはできません。皮肉屋の臆病者が、ある少女との出会いと別れを経てエースパイロットへ成長していく——ガンダム屈指のキャラクタードラマが、ガンキャノンのコックピットで紡がれました。

2025年の最新作『GQuuuuuuX(ジークアクス)』では、キャノン砲がビームキャノンに進化。さらにその量産型「軽キャノン」が、セイラ・マスの専用機としてトリコロールカラーで戦場を駆ける——ガンキャノンの血脈は、今なお進化を続けています。

基本スペック — RX-77-2 ガンキャノン

項目 詳細
型式番号 RX-77-2
分類 中距離砲撃支援用試作モビルスーツ
頭頂高 17.5m
本体重量 51.0t
全備重量 70.0t
ジェネレーター出力 1,380kW
スラスター総推力 51,800kg
装甲材質 ルナ・チタニウム合金
センサー有効半径 6,000m
開発 地球連邦軍(V作戦)
設計 テム・レイ(V作戦主任技術者)
メカニックデザイン 大河原邦男
特殊機構 コアブロックシステム(ガンダム・ガンタンクと共通)

ジェネレーター出力1,380kWは、同じV作戦のガンダム(1,380kW)と同等。しかしスラスター総推力51,800kgはガンダムの55,500kgをやや下回ります。これは砲撃支援機として機動性よりも装甲と火力を優先した設計思想の表れです。

装甲にはガンダムと同じルナ・チタニウム合金が採用されており、ザクのマシンガンでは容易に貫通できない防御力を誇ります。コアブロックシステムはガンダム、ガンタンクと共通の規格で、パイロットの生存性を高めるとともに、戦闘データの確実な回収を可能にしました。

センサー有効半径6,000mはガンダムの5,700mを上回り、中距離砲撃機にふさわしい索敵能力を備えています。この長距離センサーがあってこそ、240mmキャノン砲の射程を最大限に活かすことができたのです。

武装 — 砲撃と白兵の両立

武装名 分類 射程 弾数 特記事項
240mm低反動キャノン砲 x2 実弾・肩装備 中〜長距離 約40発 主兵装。巡洋艦にも有効
60mmバルカン砲 x2 実弾・頭部固定 近距離 対人・ミサイル迎撃用
ビームライフル ビーム・携行式 中距離 エネルギーCAP式 ガンダムと同型
ハンドグレネード(ファイア・ナッツ) 実弾・投擲 近距離 脚部ラック収納 劇場版ア・バオア・クー戦で使用

240mm低反動キャノン砲 — ガンキャノンの代名詞

両肩に1門ずつ搭載された240mm口径の大型砲。一年戦争当時のMS搭載火砲としては最大級の口径を誇り、ムサイ級巡洋艦クラスの装甲にも有効打を与えられる威力を持ちます。

「低反動」という名称は、砲撃時の反動をMS本体で吸収するシステムに由来します。通常、この口径の砲を人型兵器に搭載すれば、発射のたびに機体がバランスを崩しますが、ガンキャノンは脚部の構造と重心設計によってこの問題を克服しました。装弾数約40発という制限はあるものの、V作戦期にビームキャノンではなくあえて実弾砲を選択したのは、信頼性と確実性を重視した結果です。ビーム技術は当時まだ不安定であり、砲撃支援機に求められる「確実に撃てる」という要件に実弾砲が最適だったのです。

ビームライフル — ガンダムと同じ切り札

ガンキャノンがガンタンクと決定的に異なるのは、手持ちのビームライフルを装備できる点です。これによりキャノン砲の弾切れ後も戦闘を継続でき、また中距離でのビーム射撃によってより柔軟な戦術対応が可能になりました。劇中ではキャノン砲で援護しつつ、接近してきた敵にビームライフルで対処する場面が何度も描かれています。

60mmバルカン砲とハンドグレネード

頭部の60mmバルカン砲はガンダムと共通の近接防御火器。ハンドグレネード(通称ファイア・ナッツ)は脚部ラックに収納された投擲型榴弾で、劇場版『めぐりあい宇宙編』のア・バオア・クー突入戦で使用されました。

パイロット:カイ・シデン — 皮肉屋が辿ったエースへの道

人物像 — ホワイトベースの「良心」

サイド7のコロニーに住む15歳の民間人。口が悪く皮肉屋で、軍規にも自己犠牲にも胡散臭さしか感じない。初期のカイは「戦いたくない」と公言し、アムロのように使命感に駆られることもなく、ブライトの命令にも反発する——視聴者にとっては、もっとも「普通の感覚」を持った少年でした。

しかしその裏には、弱者への鋭い共感力と現実を見抜く観察眼があります。戦争の矛盾を声に出せるのはカイだけであり、ホワイトベースの中で唯一「おかしいものはおかしい」と言える存在。アムロが「天才パイロット」の物語を背負うなら、カイは「普通の人間が戦争に巻き込まれたらどうなるか」というテーマを体現するキャラクターです。

「よろしいもよろしくないもないんでしょう?」
——第4話、出撃命令を受けたカイの言葉。軍人でもないのに戦わされる理不尽への、カイらしい皮肉。

ミハルとの出会いと別れ — ガンダム屈指の悲劇

カイの人生を決定的に変えたのは、第28話〜第29話のベルファストでのエピソードです。

ジオンのスパイ少女ミハル・ラトキエ——幼い弟妹を養うために情報を売り、それでも「自分のしていることは正しくない」と苦しむ少女。カイはミハルの境遇に自分自身を重ね、心を通わせます。ミハルはホワイトベースに潜入しますが、戦闘の中でガンペリーのミサイルランチャーを操作しようとして転落し、命を落とします。

カイが涙を流しながら叫ぶ——

「ミハル……ミハル……俺はもう悲しまないぜ。お前みたいな子を増やさせないためにジオンを叩く、徹底的にな!」
——第29話「ジャブローに散る!」、ジャブロー出撃前のカイの決意

このセリフは『機動戦士ガンダム』全編を通して最も泣けるシーンの一つとして語り継がれています。戦争の被害者であるミハルの死が、もう一人の被害者であるカイを戦士に変えてしまう——その皮肉と悲しみが、ガンダムという作品のリアリズムを象徴しています。

エースパイロットへの覚醒

ミハルの死後、カイは積極的に戦闘に参加するようになります。そしてその成長が最も鮮やかに描かれたのが第32話のソロモン攻略戦です。

スレッガー・ロウが接近するリック・ドム部隊に先制攻撃を仕掛けた際——

「スレッガーさんかい? 早い、早いよ!」
——第32話「強行突破作戦」

冷静にスレッガーの攻撃タイミングが早すぎることを指摘し、落ち着いてドムのコックピットを正確に撃ち抜く。元民間人の少年が、職業軍人であるスレッガーを超える射撃の腕を見せた瞬間でした。このセリフは「早い、早いよ!」として、ガンダムファンの間で広く引用される名台詞となっています。

戦後のカイ — ジャーナリストとしての再出発

一年戦争後、カイは軍を退役してフリーランスのジャーナリストに転身します。漫画『機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー ——カイ・シデンのレポートより』では、ティターンズによる連邦軍の腐敗を追いながら、アムロやカラバと連携して暗躍する姿が描かれました。

「戦争をくぐり抜けたから分かること」を武器に、ペンで戦い続けるカイ。皮肉屋の少年がジャーナリストになるという展開は、カイの性格——権威を疑い、弱者に共感し、現実を見抜く——を考えれば、もっとも自然な帰結です。

主要な戦闘シーン — ガンキャノン全戦歴

サイド7脱出戦(第1〜2話)

ジオンの襲撃を受けたサイド7で、カイが初めてガンキャノンに搭乗。操縦経験のない民間人が、パニックの中で巨大な人型兵器を動かす——その混乱と恐怖がリアルに描かれています。

ランバ・ラル戦(第18〜20話)

地上でのゲリラ戦。ランバ・ラルのグフと交戦する中で、ガンキャノンの重装甲が活きる場面が多く見られました。キャノン砲による面制圧で味方を支援しつつ、自らも前線で戦う——ガンキャノンの設計思想が最も忠実に実現された戦闘です。

黒い三連星戦(第24話)

ドム3機によるジェットストリームアタック。高速で迫るドム隊に対し、ガンキャノンは中距離からキャノン砲で援護。この戦闘でマチルダ・アジャン中尉が戦死し、ホワイトベースクルーにとって深い傷を残します。

ベルファスト(第28〜29話)

ミハルとの出会い、そして別れ。ガンキャノンとしては水陸両用MSコンスコン隊との戦闘が展開されますが、この章の真の主題は機体の活躍ではなく、カイの人間ドラマです。

ソロモン攻略戦(第36話前後)

連邦軍の大規模宇宙攻略作戦。ガンキャノンはホワイトベース隊の一員としてソロモン要塞に突入。キャノン砲による砲撃支援でリック・ドム部隊を撃破していく、カイがエースとして覚醒した後の集大成です。

ア・バオア・クー最終戦(第42〜43話)

一年戦争の最終決戦。エンジンを喪失したホワイトベースを防衛するため、ガンキャノンは右脚を失いながらも戦い続けます。片膝をついた状態でキャノン砲を撃ち、ザクを撃墜。機体が横転するまで砲撃を続けた——ガンキャノンとカイの一年戦争は、この壮絶な防衛戦で幕を閉じました。

全シリーズのバリエーション — ガンキャノンの系譜

型式番号 名称 登場作品 特徴
RX-77-1A ガンキャノンA THE ORIGIN V作戦の初期試作機。三本指の原始的デザイン
RX-77-2 ガンキャノン 初代ガンダム V作戦の完成形。本記事の主役
RX-77-3 ガンキャノン重装型 MSV / Z 全面装甲強化。キャノン砲の射撃速度2倍
RX-77-4 ガンキャノンII MSV / 0083 右肩ビームキャノン1門+左肩精密照準システム
RX-77D 量産型ガンキャノン 0080 コアブロック廃止。ジム系パーツ流用で量産化
MSA-005K ガンキャノン・ディテクター UC (MSV) メタスのフレーム流用。砲撃形態に変形可能
RX-77 (TB) ガンキャノン(サンダーボルト版) サンダーボルト デブリ対策装備。キャノン砲がバックパック装備

RX-77-1A ガンキャノン最初期型(THE ORIGIN)

安彦良和による『THE ORIGIN』で描かれた、連邦軍初のモビルスーツ試作機。三本指の原始的なマニピュレーター、角張ったシルエットは、V作戦以前のMS技術がいかに未熟だったかを物語ります。テム・レイはこの最初期型の失敗から多くを学び、RX-77-2の完成形へと至りました。

RX-77-3 ガンキャノン重装型

MSV(モビルスーツバリエーション)で設定された発展型。全身装甲を強化し、キャノン砲の射撃速度を2倍に向上。「砲撃支援機」としてのコンセプトを極限まで突き詰めた機体ですが、重量増加により機動性はさらに低下しました。

RX-77-4 ガンキャノンII

『0083 スターダストメモリー』の時代に運用された後継機。両肩砲を廃止し、右肩に単装ビームキャノン1門、左肩に精密照準システムを搭載するという大胆な設計変更が行われました。ガンキャノンの「両肩砲」というアイデンティティを捨ててでも、ビーム化と精密射撃を追求した意欲的な機体です。

RX-77D 量産型ガンキャノン

『0080 ポケットの中の戦争』に登場。コアブロックシステムを廃止してコストダウンを図りつつ、スラスター総推力93,500kgはオリジナルの約1.8倍に強化。キャノン砲はバックパックに収納可能で、近接戦闘時の障害にならない設計です。臀部のスタビライズド・ギアにより、砲撃時の安定性も向上しています。

MSA-005K ガンキャノン・ディテクター

グリプス戦役期にメタスの可変フレームを流用して開発された砲撃支援MS。MS形態と砲撃形態への変形機能を持ち、ガンキャノンの「砲撃支援」コンセプトを第二世代MSの技術で再構築した異色の機体です。

デザイン秘話 — 「主役になるはずだった砲兵ロボ」

『フリーダム・ファイター』から生まれた3体

1978年、大河原邦男がアニメ企画『フリーダム・ファイター』(後の『機動戦士ガンダム』)のために描いた3体の用途別ロボット——白兵戦型(後のガンダム)、重砲兵型(後のガンキャノン)、戦車型(後のガンタンク)。この3体は同時にデザインされ、「異なる役割を持つ兵器が連携して戦う」というV作戦の思想は、企画段階からすでに存在していました。

注目すべきは、ガンキャノンのデザインが1978年の段階でほぼ完成形だったことです。両肩のキャノン砲、頭部の赤いカラーリング、ずんぐりとした重装甲のシルエット、さらには携行式ビームライフルまで——ガンダムやガンタンクが企画の進行に伴い大幅に変更されたのに対し、ガンキャノンは原案からほとんど変わらず決定稿に至りました。

「主役機」候補だった説

一部の文献では、企画初期にこの「重砲兵型」が主役機として検討されていたとされています。肩に巨大な砲を持つ赤い機体が主人公機——確かに当時のスーパーロボットアニメの文脈では、「大きな武器を持つ派手な機体」が主役にふさわしいと考えるのは自然な発想です。

最終的にはよりヒロイックなシルエットを持つガンダムが主役に選ばれましたが、ガンキャノンには「もう一つの主役機だったかもしれない」というロマンが漂っています。

大河原邦男のデザイン哲学

大河原邦男がV作戦3機に込めたのは、「用途別に設計された兵器」という、それまでのロボットアニメにはなかった発想でした。ザクが「量産される兵器」という革命だったように、V作戦3機は「役割分担する兵器」という革命をもたらしました。

ガンキャノンは「砲撃支援」という明確な役割を持ち、そのデザインは機能に従っています。肩のキャノン砲は火力のシンボルであり、ずんぐりとした体型は装甲の厚さの表現。ガンダムのようなスマートなヒーロー体型ではなく、「砲台」としての実用性を体現したデザインです。

GQuuuuuuXのガンキャノン — ビームキャノンに進化した試作機

GQuuuuuuX版スペック

項目 詳細
型式番号 RX-77
頭頂高 18.0m
本体重量 51.0t
分類 V作戦 砲撃戦用試作モビルスーツ
所属 地球連邦軍

GQuuuuuuX版ガンキャノンは、頭頂高18.0mとオリジナルの17.5mからわずかに大型化。モダンなリデザインが施され、頭部は4つ目のゴーグル型バイザーでVアンテナなしという独自のデザインを採用しています。

オリジナルとの最大の違い — ビームキャノンの光と影

GQuuuuuuX版の最大の変更点は、両肩のキャノン砲が実弾からビームキャノンに進化したこと。威力は凄まじく、ザクの肩シールドをかすっただけで溶かすほどの破壊力を持ちます。

しかしその代償として、1発撃つごとに冷却が必要で連射ができないという致命的な弱点が生まれました。オリジナルのガンキャノンが実弾砲で「確実に撃てる信頼性」を選んだのとは対照的に、GQuuuuuuX版は火力と引き換えに取り回しの良さを犠牲にしたのです。また、ガンダムと同様の手持ちシールドを携行する点も、新たな特徴です。

第2話「白いガンダム」— 史上初のMS対MS実戦

GQuuuuuuXの世界線では、シャア・アズナブルが自らサイド7に潜入し、連邦の新型MS「ガンダム」を発見・鹵獲。急きょ発進したガンキャノン3号機がシャアの乗るガンダムと交戦します。

パイロットは巧みな戦術を見せました——フェイントタックルでビームキャノンの冷却時間を稼ぎ、その隙をついて砲撃するという判断。しかしシャアはギリギリでこれを回避し、ビームサーベルでコックピットを貫いてガンキャノンを撃破。

この戦闘はGQuuuuuuX世界における「史上初のMS対MS実戦」として描かれており、オリジナルのガンダム第1話(ジーンのザク vs アムロのガンダム)に対応するシーンです。原作ではガンダムが勝つ場面が、GQuuuuuuXではガンダムに乗ったシャアがガンキャノンを倒すという逆転構図になっている——その皮肉が、GQuuuuuuXの世界観を見事に象徴しています。

軽キャノン — GQuuuuuuX世界の「ジム枠」

軽キャノンとは

項目 詳細
型式番号 RGM-79
機体名 軽キャノン(ライトタイプ・ガンキャノン)
頭頂高 19.0m
本体重量 49.9t
装甲材質 ルナ・チタニウム合金
所属 地球連邦軍

GQuuuuuuXの世界では、シャアによってガンダムが奪われたことで連邦のMS開発計画に大きな狂いが生じました。本来であればガンダムの戦闘データをもとにジムが開発されるはずが、そのデータが手に入らない。そこで連邦はガンダムの開発データの一部とガンキャノンの砲撃戦ノウハウを融合し、軽キャノンを生み出しました。

原作世界のRGM-79ジムに相当する量産機ですが、ガンキャノンの砲撃力とガンダムの白兵戦能力を両立した設計思想が特徴。ビームキャノン砲、ビームライフル、ビームサーベルを標準装備し、「安くて数を揃えられるガンキャノン」とも言える存在です。

セイラ専用軽キャノン — 「ガンダムの代わり」を託された連邦最強のニュータイプ

GQuuuuuuXの世界では、セイラ・マスが「連邦軍最強のニュータイプ」と称されるエースパイロット。第一次ソロモン会戦でドズル・ザビのビグ・ザムを討ち取った実績を持つ、原作とはまったく異なる立ち位置のキャラクターです。

セイラの乗る軽キャノンは白・青・赤のトリコロールカラー——つまりガンダムカラーで塗装されています。さらにガンダム・ハンマーを振るうという衝撃的な装備。まさに「シャアに奪われたガンダムの代わり」として、セイラがその役割を引き受けているのです。

原作ではシャアの妹として控えめな立場だったセイラが、GQuuuuuuXでは兄と対等に戦う連邦の切り札になっている——この設定だけでも、GQuuuuuuXが「もしも」の世界をいかに大胆にアレンジしているかが伝わります。

文化的影響 — カイ・シデンが愛される理由

「もう一人の主人公」としてのカイ

ガンダムの主人公はアムロ・レイですが、カイ・シデンはアムロとは違う形で「一年戦争の物語」を体現するキャラクターです。ニュータイプの覚醒もなく、特別な才能もなく、ただ「普通の人間」として戦争に巻き込まれ、愛する人を失い、それでも戦い続ける——カイの物語は、アムロの物語よりもリアルで切実だと感じるファンが少なくありません。

「ミハル回」の伝説

第28話〜第29話、通称「ミハル回」は、ガンダム全43話の中でもっとも泣けるエピソードとして知られています。戦争の被害者同士が心を通わせ、しかしその戦争が彼らを引き裂く——この構図は、40年以上経った今もなお新鮮な感動を呼びます。

ミハルの「カイー! あたしにも戦わせて!」という叫びと、その直後の転落死。そしてカイの「ミハル……ミハル……」という慟哭。このシーンに涙しなかったガンダムファンはいない、と言われるほどの名場面です。

「早い、早いよ!」の文化的浸透

カイの「スレッガーさんかい? 早い、早いよ!」は、ガンダムファンの間で日常的に引用される名台詞です。タイミングが早すぎる場面で「早い、早いよ!」と言えば、ガンダムファンなら誰もが元ネタを理解する——そのレベルで日本のオタク文化に浸透しています。

ガンキャノンの「渋さ」人気

ガンダムほど派手ではなく、ザクほどアイコニックでもない。しかしガンキャノンには、「地味だけど頼りになる支援機」「目立たないけど実は強い」という、日本人が好む「渋さ」の美学があります。ガンプラでもガンキャノンは常に一定の人気を保ち、「通好み」の機体として愛され続けています。

ガンプラガイド — 全グレード完全網羅

GQuuuuuuXキット

HG 1/144 軽キャノン(HGGQX)

項目 詳細
価格 2,200円(税込)
発売日 2025年7月5日
特徴 1軸可動キャノンユニット、赤いカラーリング
付属品 ビームライフル、ビームサーベル、平手パーツ

GQuuuuuuXの量産機らしい赤いカラーリングが目を引くキット。キャノンユニットは1軸で可動し、砲撃ポーズが決まります。価格も手頃で、GQuuuuuuXの世界観を手軽に楽しめる一品です。

HG 1/144 セイラ専用軽キャノン(プレバン限定)

項目 詳細
価格 2,530円(税込)
発売日 2025年10月
特徴 トリコロールカラーを成形色で再現
付属品 ガンダムハンマー(チェーン可動)、ビームライフル、ビームサーベル

プレミアムバンダイ限定のセイラ専用カラー。白・青・赤のガンダムカラーが成形色で再現されており、塗装なしでも映える仕上がり。付属のガンダムハンマーはチェーン部分が可動し、劇中の印象的なシーンを再現可能です。プレバン限定のため入手が難しい場合がありますが、セイラファン・GQuuuuuuXファンには必携のキットです。

クラシックキット

HGUC ガンキャノン(REVIVE版)

項目 詳細
価格 1,540円(税込)
スケール 1/144
発売年 2015年
特徴 プロポーションと可動域を全面刷新したリニューアル版

2015年にHGUC REVIVEプロジェクトの一環としてリニューアルされた決定版。旧キットでは不可能だった膝立ち砲撃ポーズが再現可能になり、首・胴体・膝の可動域が劇的に向上。「HGとはこうあるべき」というお手本のようなキットで、1,540円という価格も魅力です。ガンキャノンのガンプラを1つだけ選ぶなら、まずこれを手に取るべきです。

MG ガンキャノン

項目 詳細
価格 約3,300円
スケール 1/100
発売年 2001年
特徴 コアブロックシステム再現。コアファイター変形・格納可能

1/100スケールでコアブロックシステムを完全再現。コアファイターが変形して胸部に格納されるギミックは、MGガンキャノンの最大の見せ場です。2001年発売で設計はやや古いものの、ガンキャノンの内部構造まで楽しみたいなら唯一の選択肢です。

RE/100 ガンキャノン・ディテクター

項目 詳細
価格 約4,400円
スケール 1/100
特徴 MS形態から砲撃形態への変形を再現。UC MSV

ガンキャノンの名を冠しつつも可変機構を持つ異色の機体を、RE/100グレードで再現。砲撃形態への変形が楽しめる、マニア向けのキットです。

HG ガンキャノン最初期型(THE ORIGIN)

項目 詳細
スケール 1/144
特徴 THE ORIGIN版。連邦初のMSを再現。三本指のマニピュレーター

THE ORIGIN版の原始的なガンキャノンを再現。三本指の不気味なマニピュレーターが特徴的で、V作戦以前のMS技術がいかに未熟だったかを感じさせるキットです。

おすすめの選び方

あなたのタイプ おすすめキット
ガンプラ初心者 HGUC ガンキャノン REVIVE版(1,540円)
GQuuuuuuXファン HG 軽キャノン(2,200円)
セイラファン HG セイラ専用軽キャノン(プレバン限定)
内部構造まで楽しみたい MG ガンキャノン
マニアックな機体が好き RE/100 ガンキャノン・ディテクター
ガンダム史を俯瞰したい HG ガンキャノン最初期型(THE ORIGIN)

関連記事

出典

  • 『機動戦士ガンダム』TVシリーズ、サンライズ、1979-1980年
  • 『機動戦士ガンダム 劇場版三部作』、サンライズ、1981-1982年
  • 『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』OVA、1989年
  • 『機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー』OVA、1991-1992年
  • 『機動戦士ガンダムUC』OVA、2010-2014年
  • 『機動戦士ガンダム サンダーボルト』漫画・ONA、2012年〜
  • 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』漫画・OVA、安彦良和 / サンライズ
  • 『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』TVシリーズ、サンライズ / スタジオカラー、2025年
  • 『機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー ——カイ・シデンのレポートより』漫画
  • MSV(モビルスーツバリエーション)設定資料
  • バンダイスピリッツ ホビー公式サイト(bandai-hobby.net)
  • GUNDAM.INFO(gundam.info)
  • Gundam Wiki(gundam.fandom.com)

間違いや最新情報があればお知らせください。正確さを大切にしています。

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